3469声 明るさ

2016年05月08日

午後4時を過ぎて駅前の温度計は27℃。
今日の営業もそろそろ終わりで、俺はなんにもしてないけれど、スズランで缶ビールを買って、城址公園のベンチに座って飲む。
そよ風が心地いい。
知り合いの21歳の女の子が親と揉めていて、それがどうにか収束の兆しを見せていると聞き、安心した。
肉親と、闘ってまで縁を切ることが一件落着とはやりきれないだろう。
いつかそれを乗り越えて、明るく、幸せを感じられるようになって欲しい。
若いのだから、自分の明るさを大事にして欲しい。
闇は闇で、持っていて悪いものではない。
持っていれば、他人の闇を理解してやることもできる。
俺なんか最近、闇にしか興味がない気すらする。
深夜の仕事になってるからそうなのか、陽の当たってるところはまぁいいやと思ってしまう。
夜にしか、闇でしか見えないものがあって、そういう時でないと大事なことに気づけないものだから、つい暗い方へ暗い方へと足が向く。
昼間は、できることなら木や花ばかり見ていたい。
せいぜい蟻とか。

せいぜいでは蟻に怒られるか。
人間には夜会うことにして。
陽が傾いてきた。
そろそろ飲み屋も始まる時間だから何処かに入ろうかと思う。
さっきからこの公園のベンチに座っているのは、俺の他にくわえ煙草に野球帽のおじさんだけである。

もうかれこれ一時間になる。