3546声 掌

2016年07月24日

アーツ前橋「表現の森」。今日はデイケアセンターのおばあちゃんが二人、センタースタッフの支えのもと、アーツ前橋を訪れ、観衆がいる中でアーティストと共に即興演奏会を行った。

 

一人のおばあちゃんは、演奏が活気づくにつれ、椅子から立ち上がり、そばにいた子どもたちと踊りを始めた。ところどころでハイタッチのように子供に向けて掌を差し出し、子どもたちは順々にその手に触れた。それこそ昔、踊りでもやっていたのかな。その一挙一動がきれいだなと思った。

 

あと、展示場所に設置された楽器を鳴らしてみるとわかるのだが、いかに自分が音を出すにあたりつまらない人間か、ということに気付く。つまりは「下手なりにどこかで聞いたことのあるリズムを鳴らそうと思って、出た音が面白くない」という事がわかるのだ。

 

そのへんに関して今回の展示のアーティストである石坂亥士さんは「老人たちが出すリズムは予測不能で、面白いんだよね」と言っていた。僕が楽器をつきつめてやることは考えられないので、それでもきっと年を経て色々を忘れれば、面白い音が出せるのかもしれない。

 

「老いての表現」などというと、舞踏家の大野一雄さんじゃないけど、「道をつきつめ続けた求道者だけが到達できる、余分なものをそぎ落とした本質的な表現」みたいなものを僕はイメージするのだけれど、ごく普通の人であっても、老いて出る個性・表現はあるのだと思う。