新米が炊きあがる。
釜を開け、立ち上がる湯気。
茶碗によそり、食卓へ。
そこにはすでにこんがり焼けた秋刀魚がある。
まずはご飯を一口。
はふはふ言いながら、大根おろしに醤油を垂らす。
秋刀魚に箸を当てる。ぱりっと音がして身があらわになる。
大根おろしを乗せて、口に運ぶ。
じゅわっと脂が広がり、大根おろしが絶妙に押さえる。
すかさず、すかさずご飯を口に。
秋刀魚とご飯とが、輪になって踊る。
まあまあ落ち着けと、大根の味噌汁をすする。
秋刀魚、ご飯、味噌汁、秋刀魚、ご飯、たくわん、味噌汁・・
全てを、まんべんなく食べ終わる。
そのタイミングで運ばれてくるお茶。細くゆれる湯気。
ずずずとすする。もろもろが、すーっと下りる。
深呼吸ひとつ。
多面的にむかれた柿を口に運ぶ。ふに、ふに。
そうしてようやく、食卓から解放されて。
顔を上げると、窓の外には赤や黄色の紅葉。
ごちそうさま。