稀勢の里が優勝した。
土俵に上がって89場所目の優勝だから、実に15年の歳月が流れたということ。
相撲は、自分の形になって初めて勝てる競技である。
相撲だけではないかもしれない。
相撲以前に、そもそも自分の形になることが苦手なのが稀勢の里という人だと、今まで彼を見続けてきて、勝手に感じていた。
自分の形になるには、とにかく地道な努力が必要で、それから加えて、自分に酔う力、陶酔力みたいなものもどこかで必要なのだと思う。
稀勢の里はなかなか酔わない。
それは、もっと高いレベルを目指しているからかもしれないし、あるいは、とことん真面目で臆病なのかもしれない。
これでおそらく、来場所横綱に昇進することになると思う。
稀勢の里は、まれに見る地道な努力だけで横綱に昇りつめた力士だと思う。
横綱になったら、少しは自分の形に酔う相撲も見せてほしい。
稀勢の里の相撲は、もう十分かっこいいのであるから。