3784声 シンキチ醸造所

2017年03月18日

小さなドアを「こんちは」と開くと、店やカウンターには人がいない。奥の硝子窓から見える隣室の銀色のおっきなタンクの側で、堀澤さんが何やら作業をしていた。硝子窓をノックして、「飲めますか?」と聞く。カウンターに座った。

 

シンキチ醸造所はオープンしてからいくらか経つが、いよいよ、めっかった群馬の(ほ)、堀澤宏之さんによるクラフトビールの醸造・販売が始まった。僕は少し出遅れて、その遅れを取り返すかのように「長屋エール」「金柑Jr.」「ストリッパー」と立て続けに飲んだ。華やかさの驚きが優先されそうなクラフトビールにあって、堀澤さんが目指すのは和食にも合う食中酒としてのビールなので、なるほど「長屋エール」なんかはアテをつまみつついつまでも飲んでいられるような親しさを感じた。

 

客がいなかったのは僕が入るまでで、予約の客、常連さん、そしていわゆる「クラフトビールマニア」みたいな人で店は賑やかになった。聞けば「高崎に新しいビールができた」と聞き、宇都宮から電車に揺られやって来たそうだ。そんな期待にも応えられるようなビール、そして相変わらずの食べ合わせの妙な料理だった。みなさんもぜひ、足を運んでいただきたい。

 

シンキチ醸造所