3622声 悪魔の言葉

2017年10月12日

今夏、俳句の雑誌の編集者の方と昼飯を共にする機会があった。
入ったのは肉料理の店で、私はステーキ系統の重たい品は避け、
サラダとローストビーフの丼という軽めな物を注文した。
聞けば、雑誌の編集というのも大変ながら楽しい仕事で、
校了前には徹夜も辞さぬ、という意気込みであると伺った。
しかし、四十を過ぎてから、徹夜はできなく、できても疲労が抜けず、
食事の量は食べれず、重たいものは避けるようになったと、嘆息されていた。
だから、「三十代のうちに徹夜して、食べれるだけ食べておいたほうが良い」
とのアドバイスを投げかけられた。
徹夜はしていないが、食べるほうは、「それもそうだな」と思い、
重たいものをどんどん食べていた。
そのせいか、夏以降、急激に太ってしまって、
いまは顔がパンパンになってしまった。
慌てて、食生活を改善しようと思うのだが、一度ついた勢いは中々おさまらず、
品書きを見ていると「三十台のうちに…」という悪魔の言葉が脳裏をよぎり、
ついつい、食べなくても良い揚げ物を、飲まなくても良い麦酒を、
今宵も食べ過ぎてしまうのである。