伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2017は、
中編の部 大賞受賞『なれない二人』 樋口幸之助
短編の部 大賞受賞『あるいは、とても小さな戦争の音』村口知巳
に決まった。
前者は、お笑い芸人になれない二人が、舞台を踏む直前までを描いた物語。それぞれがそれぞれに問題を抱えドタバタして、最後同じ舞台に立つ、そこにカタルシスが生まれることを期待したい。後者は、審査員全員一致で大賞が即決した作品で、今年になって朝けたたましく鳴り響いたあの防衛サイレンを思い出させる社会性を帯びつつ、それを戦争映画ではなく生活映画として描くユニークさが魅力。どちらも来年の映画祭までに中之条町を中心に撮影され、映画祭で初上映の運びとなる。
そして昨年大賞を獲った川西薫監督『子供は天使ですか?』と根岸里紗監督『三つの朝』は無事に初上映を終えた。前者は、売れ時から外れ田舎へやってきた子役スターと、自称プロのヒモのダメ中年男とが関わり合うことでお互い前を向くまでの物語で、観終わった後にいい映画を観たなとほっこりできる良作だった。そして後者は監督こそ伊勢崎市出身の現役大学生であるものの他スタッフ役者はプロが揃い、むしろ関わり合いがうすい工場勤めの3人の女性のささやかな決断を描いた意欲作だった。
今年、「伊参スタジオ映画祭」のポスターを作っていて、何か言葉を入れたいなと思い、出た言葉は「映画、つくってます。」だった。それが胸を張って言える映画祭は全国を見ても希であり、今年またその実感を強くした。
ご来場いただいたお客様、映画関係者のみなさん、そしてスタッフや役場のみなさん、ありがとうございました。