819声 饐えた生姜

2010年03月29日

「俳句…」
と呟いてみたのは、この日刊「鶴のひとこえ」、本日が第819声だからである。
語呂合わせ、である。
では、ついでに。

小春日の焼きそばに饐えた生姜かな

野暮を承知で、説明する。
今日の昼。
仕事中にみどり市内を走行中、往来の店に目を奪われた。
その店に掛けられている朱色が古ぼけてくすんでいる暖簾には、
「焼きまんじゅう・焼きそば」
と白抜き文字で書かれている。
その店は、軽食堂兼駄菓子屋と言った具合の店。
店頭の脇には、これまた古ぼけて埃を被っているガチャガチャマシーンが4台。
愛想も無く、少年客を待ちぼうけている。
この系統の店では、なかなか侮れない焼きそばを提供している。
と言う、以前何処かで聞きかじった情報を元に、
群馬県東毛方面に土着する焼きそばを食べてみようと思い立ち、寄ってみた。

店主はおばあちゃん、ひとりきり。
店内は予想通り、懐古的かつ雑然としている。
例えば、「フジカラー」なんてポスターが、入口の硝子戸に貼ってあったりする。
そして焼きそば、これも、予想通り、細麺のポテト入り。
群馬県東毛方面、特に桐生市から栃木県にかけて、多く見られる形態である。
味わいながら、軽快に箸を進めて行くと、瞬間、異変を察知して、急停止。
異変を確認する為、怪しげな紅生姜を箸でつまんで、そっと鼻に近付けてみる。
「あぶない」
と言う変な感想が、脳内に殴り書きされる。
ためらいつつも、未だ半分残っている焼きそばと混ぜて、一切合財、綺麗に平らげた。
仄かに薫る、何やら饐えた紅生姜の、残り香。
薄日射す、正午過ぎの店内は、穏やかであった。

さて、春である。
生姜も饐える、焼きそばも美味い。