「旅の恥はかき捨て」
と言う部分は、酒に通ずる。
千鳥足で歩いた、自らの蛇行した足跡を振り返り見るのは、
誰でも心地好いものでない。
なので、意図的に振り返ろうとしない。
しかし、振りかえざるを得ない状況が、時に存在する。
「無い」
と気付いた時にはもう、助手席に座っていた。
いささか寒い、車中。
代行運転手が握るハンドルだけが、忙しなく動いている。
携帯電話が無い。
と言う状況は、抜き差しならぬ、と酒酔いでのぼせ上った頭でも分かる。
分かってはいるが、何分、酔っぱらい。
仕切り直して、全ての行動は明日に持ち越した方が賢明。
そのくらいの判断は、未だ出来た。
なので、今日。
その大半が波にさらわれてしまっているが、
砂浜に残された足跡を探しに、また酔街へ戻らねばならなかった。
結果、見つかった。
良心的な店の計らいで、発見できた。
しかし、素面で酔街における極彩色のネオンを見るのは、
裸眼で太陽を見るが如く、目に染みるものだった。
自らの失態を公開する、と言う悪趣味はないけれど、
かき捨てられなかった恥を、恥を忍んでここに書く。
今日、私から連絡が来ず、心配してくれた方々の為。
そして、捨てたものでは無い、酔街の素敵な店へ感謝の意を込めて。

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