裏の顔を見てしまった。
そこにあったのは、普段見慣れている優しい顔ではなく、とても険しい顔だった。
その顔の持ち主は、赤城さん。
いや、赤城山である。
先週末、マラソンの用事があって、伊勢崎市街地から旧境町方面へと足を伸ばした。
広瀬川のサイクリングロード、春爛漫の沿道を走る。
頬を撫で行く心地好い春風が、額に浮かんだ汗を冷やす。
快走していながらも、何だか気になるのが、遠くに見える赤城山。
険峻なのである。
私の記憶に馴染みある赤城山と言えば、高崎市方面から眺める赤城山。
頂上から緩やかに弧を描いて伸びる、稜線が印象的な、
そこはかとなく女性的な「美」を連想させる赤城山。
そこには、伊勢崎方面から眺めた時の様な、険しさがないのである。
一緒に走っていた、伊勢崎地元民に訪ねてみた。
「こちらから眺めると、赤城山が、随分と険しいようです」
「いや、これが伊勢崎市民が見慣れた、いつもの赤城山だよ」
「そうですか、しかし、私の知る赤城山はもっと美人です」
そうなのである、以前にも書いた事があるが、私が見ている赤城山が、
県内で一番美人だと思っている。
つまりは、赤城山が一番美人に見える場所を知っている。
と言う事だ。
その場所とは、いや、ここで筆を止め置こう。
「美人薄命」
なんて、縁起の悪い言葉もあるから。
上毛かるたにもある、「裾野は長し赤城山」。
赤城山のみならず、頭に思い浮かべる故郷の山、その容姿は人それぞれなのだ。
私はどうやら、赤城山とは、良い出逢い方をしたようである。

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