841声 丸めては、捨て

2010年04月20日

丸めては捨て、また丸めては捨て。
屑籠の周りは、丸めた書簡便箋が散らかっている。
頂いた書簡の返事を書いているのだが、思わぬ箇所で誤字が出て、一向に捗らない。
おそらく、生活の中で、電子メールに頼りきっている弊害だろう。
しかし思ったのだが、別に書き損じた便箋を、丸めて捨てる必要はない。
裏返して二つに折るかして、メモ帳にでもすれば、再利用できるのである。
「書き損じた」と思ったら直ぐに「丸めてポイ」。
このパブロフの犬の如き動作は、一体、何処から刷りこまれたのか。
それは、テレビ映像なのではなかろうか。
テレビドラマなどでよく出てくる、昭和の純文学作家の仕事風景。
と言えば、大抵、裸電球の下、作家は文机に向かっており、
苛立ちながら頭を掻き毟り、書いた原稿を丸めては捨ている。
紫煙渦巻く薄汚い四畳半は、丸められた原稿で、散らかり放題。
この光景が意識の中に刷り込まれ、書き損じた時に条件反射を引き起こす。
と言う線が濃い気がする。
しかし実際のところ、多くの作家が、この「丸め捨て」の動作を反射的にしていたのか、
気になる。