3766声 夜空はいつでも

2018年03月06日

夜空はいつでも最高密度の青空だ。

 

「詩」には一般の人同様に興味がなかった。谷川俊太郎や金子みすずの数個くらいは知っているし、前に関係したアーツ前橋の展示映像では「TOLTA」という現代詩のグループを知り詩集も買った。でもその程度。

 

冒頭の一節は、最果タヒなる今売れっ子の詩人の詩集のタイトルであり、『船を編む』で国内映画賞を総なめした石井裕也監督による映画のタイトルでもある。詩集からの映画化というあまり類をみないこの映画は、やはりキネマ旬報でのその年のベストワンに選ばれた。

 

詩集を買うまではしていないが、映画はとても良かった。

 

大人になるとある程度「いろいろな逃げ道」ができる。仕事や家庭に責任をもつということは、責任をもてる立場になったということであり、そこである程度生活していれば、若い頃直面していた息苦しい問題に向き合う必要はなくなる。この映画を見て、自分にもそういう時代があったことを思い出し、今なお東京(に限らず)窒息しそうな状況で生きている若者たちがいることを思った。

 

都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。

塗った爪の色を、きみの体の内側に探したってみつかりやしない。

夜空はいつでも最高密度の青空だ。