3773声 サラバ!

2018年03月13日

小説「まく子」が町内で撮影される話を聞いてから、西加奈子さんが書いた「まく子」はもちろん、すでに映画化もされた「きいろいゾウ」の原作を読み映画も見て、そして西さんの名前を一躍有名にした分厚い小説「サラバ!」を読破した。

 

フィクションではあるが、この小説には「地下鉄サリン事件」や「阪神淡路大震災」といった実際起こったことが物語内の転機となり、実在の人物・映画・音楽の名前も出てくる。主人公の歩は日本以外にもイラン、エジプトと世界各地で暮らす人生を辿るが、基本は「僕が生きてきた年代」と同じ年代を過ごしている(それは西さんが生きてきた年代でもある)ことに、個人的な思い入れを抱かないわけにはいかなかった。

 

「サラバ!」についてつらつら書き出すと日が暮れそうなのでここには書かないけれど、凄く面白い小説であるからゆえに・・また、小説の中の登場人物と同時代を生きた僕であるからゆえに、「サラバ!」を読んで「物足りないと思ったこと」を大事にしたいと思った。「いやいや、俺たちが生きて来た時代それだけじゃないよ」ということを。では具体的にその物足りなさを説明できるかというと・・やりにくいんだけどね。そしてそれは小説自体の評価とは無関係なのだけど、そう思わせてくれた時点で、この作品はいつかまた読みたいと思っている。おすすめです。