3787声 モノに優しく

2018年03月27日

西加奈子原作・映画『まく子』の、四万温泉を中心とした撮影が順調に進んでいる。

 

ロケハン時に監督らと一緒に回ったり、映画制作周辺でのお手伝いをしてきたが、映画美術部の配送車の運転を手伝った時があった。映画美術というと大掛かりな映画のセットから、映画内での消耗品的な小道具まで、仕事の幅が広いものなのだと思うが、『まく子』においても学校や旅館を映画の中の学校や旅館に見せるための自然かつ意味のある装飾、一番の盛り上がりシーンとなる祭りで使う6〜7体の子ども神輿の作成、主人公の一人コズエの特徴でもある、コズエがまくための木の葉集めなどなど・・手伝ったわけでもないのにその果てしない仕事量の多さに尊敬せずにはいられなかった。

 

美術部を優しく時々厳しく束ねるのは、是枝作品や西川作品など数々の日本映画に関わってきたAさん。「美術は3割映ればいい方です。映らない部分までをいかに作るかが僕らの仕事です」みたいなことも言っていた。僕はほんのちょっとだけ、教室の裏に書き初めを貼る作業を手伝ったのだけど、端をピリッと破いてしまった。申し訳ないことをした。それだけで、僕に美術は無理だと思った(おいおい)。

 

モノに優しく。来春全国上映のこの映画では、何気ない背景や、連日根つめて作られた神輿たちにも注目して欲しい。