3852声 ムカデの圧

2018年06月01日

今日から六月。
昨夜、帰宅すると居間の壁に巨大なムカデが張り付いていた。
オーラというか、その黒光りしている表皮から発せられる圧力が、
居間に充満していた。
すぐさま割り箸か何かでつまみ出そうと考えたが、相手は巨大である。
掴んだところを、くねらせた体で、箸の持ち手に一撃くらわされてはかなわない。
殺虫剤を噴射することも考えたが、吹きかけた瞬間にするすると逃げ、
物影に入り込まれては一大事である。
結局は、掃除機の先端部分を外し、口を開けた筒状の中に吸い込み、
とりあえず難を逃れた。
掃除機からゴミ袋に移すときはひやひやしたが、
「えい」と本体の蓋を開けて袋に突っ込めば、それで仕舞である。
一晩中、袋からはかそこそかさこそ、不穏な音がしていた。
ムカデは確かに取り去ったのだが、今なお圧力は居間に充満している。