4011声 家族写真

2018年11月07日

立て続けに、知人2組の結婚式映像を作った。

 

よくある、新郎新婦が幼いころから今に到るまでのプロフィールムービー。写真の束をあらかじめ借りて、スキャナーで1枚1枚読み込んで。パソコン上で音楽に合わせて並べ、時には顔にズームしていく動きをつけたり、七五三は着慣れない着物で号泣、みたいな言葉を添える。

 

昔は今のように携帯で手軽に写真を撮ることはできなかったけど、今回の2組以外に何回も同じような映像を作ったけど、その世代はほぼ全員が新郎新婦の両親が丁寧に撮った写真が残っている。分厚くてフィルムをぺらっとはがす重厚なアルバムごと預かることも多い。そこには目に見えて重みもある「家族の愛情」がある。

 

僕は人より何倍もカメラを「向ける側の」人間であるけれど、その対象は仕事であり、自分の家族や自分の大切な人の写真をほぼ全く撮っていなかったことに気付いた。愛情とはつまり写真を撮ればいいってもんじゃないけど、実際ごく身近な人への愛情が希薄だったのではないかと思うと、今まで何をやっていたんだと思わざるを得ない。

 

ある新婦の1枚の写真。まだ小さい少女が祭り衣装を着て山車を引いている。その横には母親がおり、母親は両てのひらで少女の顔の両脇をむぎゅっと挟んで、カメラ正面を向くように顔を固定させている。少女は口がちょっとタコみたいになっているけど、嫌な顔というよりは嬉しい顔をしている。

 

とてもいい写真だな、と思った。