4014声 麦小舎

2018年11月10日

北軽井沢にあるブックカフェ「麦小舎」があと数回の営業で閉店する。最終営業日は11/25(日)

https://mugikoya.exblog.jp/

 

長野原の南端にあって、空気が凛と澄む北軽井沢。その森をかきわけて進むと、木造の味わい深い「麦小舎」が見えてくる。庭にはベンチやハンモック。戸を開けると、天井までずっしりと本が並ぶ本棚がずらり。近すぎず遠すぎず、店主の麻子さんが「いらっしゃいませ」と声をかける。コーヒーをオーダーし、本棚をゆっくり見て歩く。北軽井沢に暮らし北軽井沢を愛した岸田衿子さんの詩集を手に取る。コーヒーが運ばれてくる。窓の外の木々と本とを交互に見て、ふーっと静かに深呼吸をする。

 

草が枯れるのは
大地に別れたのではなく
めぐる季節にやさしかっただけ
つぎの季節とむすばれただけ

(「草が枯れるのは」岸田衿子)

 

ライターとしての経歴も長い麻子さんは今、近くに住むフォトグラファーの田淵親子らと共に「きたかる」という優れた地元フリーペーパーの制作にも関わっている。店の経営以外の仕事や、夫婦のこれからについて考えた末に出したという閉店という決断を、僕は支持したい。でも、年に一度くらししか顔を出さなかったけど、僕にとっては、そしてこの店を愛する人たちにとっては、心のオアシスのようなお店でした。