4020声 人生の純粋な断片

2018年11月16日

今日は、アーツ前橋が行なっている「表現の森」プロジェクトの延長で、文化庁と群馬大学主催のシンポジウムが行われた。その内容は、「高齢者・障害者がより良く生きるために、アートにできることは何か?医療・アートの分野を越えて考えてみよう」というものだ。撮影を担当した。

 

2016年から「表現の森」で、神楽太鼓奏者の石坂亥士さんとダンサーの山賀ざくろさんが、一部痴呆が進んだり身動きもとれないような高齢者の方たちを対象にワークショップする様子を撮り続けてきた。子どもがアートに触れると、なんだか未来を感じていい話だけれど、前回僕らが来たことも覚えていない高齢者の方たちに活動を続けることの意味は、案外見出すのが難しい。

 

今日の話の一つに、「医師が患者を診て、病名を与え、しかるべき薬や施術を行う医学がある一方で。一人の患者が抱える痛みや不安を、なぜそう感じるのか、それが一生治らないならどう付き合っていけば良いのかを共に考えていく医学も必要だ」というようなものがあった。高齢者・障害者をまとまりで見るのではなく、一人一人を個人としていかに尊重できるか、ということだろうか。

 

動きがとれないお婆さんが、太鼓のリズムでごく小さく指を動かしたり、痴呆症のおじいさんが音を聞いて昔の歌を歌い出したり。亥士さんやざくろさんと高齢者との現場では、一人一人の個性が際立つ瞬間がある。その動きには、うまく見せようという自己演出もなく、70も80も年を重ねたからの凄みを感じることもある。大げさに言えば、人生の純粋な断片、とでも言うような瞬間。

 

僕の役割は、それを映像として残して、その家族や施設スタッフ、関心のある人に見てもらい、より個人個人を感じてもらう、ということで良いのかもしれないと、今日ふと思った。

 

表現の森