4127声 平成

2019年03月03日

僕が住んでいる地区では、となり組と呼ぶのだろうか。班内での助け合いは今も残っていて、昨夜は年に一度の総会と称した慰労会だった。昨年も使った小さな料理屋で、茶碗蒸しや刺身をつつく。

 

「うちの班は何世帯になったい?」「えーと、◯さんが亡くなったから12だいね」

 

僕はもうじき40歳の大台に乗るんだけど、このメンバーの中ではずっと最年少。親父が亡くなってからの参加なので、2回り3回り上の先輩方と席を囲む。それはそれで嫌いじゃない。けれどふと

 

「若者とまではいかなくても、僕の同年代たちはどこへ行ったんだ?」

 

と思う時がある。この班にも同級生や、集団登校をした子どもたちがいた。そんなことを言う僕だって、生まれ育った場所で生きていこうと決意をしたことはない。たまたまそうなっただけだ。酒がまわってくると、バブリーだった時代の話になり、あそこはあれくらい儲けていた、俺はあんだけ稼いだんだと、平成最後の昔話に花が咲いた。ん、そういえば、それらの話は全て昭和の出来事だ。

 

「おいおい、平成は、どこへ行ったんだ?」