4131声 渡り鳥の3つのトラッド

2019年03月07日

今日は嬬恋村の浅間山北麓ジオパークでの撮影だった。初めて入る建物。撮影終了後、同行した北軽井沢の麻子さんが「近くにある鎌原観音堂を見ていかない?」と散歩に誘ってくれた。

 

天保三年の浅間山噴火。土石なだれの勢いは凄まじく、旧鎌原村では500人近くの村人が死亡し、観音堂の階段を登れた100人足らずの村人のみが生き残っただけだったのだそうだ。埋まった階段を掘り起こしていたら、母親らしき人物を背負った女性の2人の遺骨も出てきたのよ、と麻子さん。「かなり昔に大きな噴火が起きた」程度しか知らなかった僕は、ああ、おれはうちからそこそこ近くに起きたことすらも何もしらないんだなと、それはいつもながらの事なんだけど、そう思いながら大きな観音様を見上げていた。

 

また、そんなつらい話を聞きつつも、自分の中に感情が湧き上がってこない事にも気づいていた。ぼーっとしがちなのは花粉や今抱えている仕事のせいもあるのかもしれないけど、それもわりといつもながらの事なのだ。僕は“自分の鈍感を自覚”していて、だからこそ映像を記録し何度も見て編集することで“現実に対して気持ちが追いついてくる”のを待っているのかもしれない。後手、後手なのだ。

 

その点、アーティストと呼ばれる人たちは1つの現実の中に2の、5の、10の事象を見つけ出す。尊敬せざるを得ない。