4557声 酒と土地

2020年10月11日

いささか溜めてしまった「鶴のひとこえ」を書く。昨日買ったビアグラスがなかなか良い。小ぶりな容量、重さ、くびれ。金属に陶器にと、いろいろと試したが、麦酒を飲むときはやはり硝子のものに落ち着く。先月、大量に購入した麦酒、「ブルームーン」の最後のひとつを飲み終えた。オレンジピールとコリアンダーのコンビのあのベルギーのと言えば身も蓋もないが、それよりはずいぶんライトですいすい飲めた。やはりアメリカのクラフトビールだと感じた。分かったようなことをいっているが、ハワイにしか行ったことがないので、アメリカのクラフトビール事情はよく分からない。よく分からないが、行き帰りの航空機内ではとにかく「ミラー・ライト」の缶をがぶがぶ飲んで寝ていた。フライト中、一番頻繁に使った英語が「ミラー・ライト」であった。あの爽やかな薄味はよく覚えている。現地に着いてから良く飲んだのは、もちろん地元「コナビール」のロングボートと、今回の「ブルームーン」であった。日本より麦酒が安く、地上でもがぶがぶ飲んでいた。あの味を懐かしみながら、一杯やっていたというわけである。その日の酒の味と土地の匂いは密接に結びついて記憶しているという感覚を、酒の飲みになら分かってもらえると思う。その酒を飲むと、あの土地の匂いが蘇ってくるという、この感覚を。