4588声 ビオワインor箱ワイン

2020年11月11日

ワインの良さは、年をとるごとに気づいてきた。めっかった群馬の(ほ)、堀澤さんはビールを作る職人でありながらワイン通であることは、彼を知っている人なら多くが知るところだろう。僕もいつかの夜、堀澤さんに高崎のおすすめの店に連れていってもらった。そこで飲んだビオワイン(添加物不使用の自然派ワイン)は衝撃的な美味しさだった。注いだ時と、しばらく待った後では味が明確に変わるのね。そんな味わい深い世界があるなんて、知らなかった。

 

ワインは好きだが、家でもそんな楽しみ方をしているわけじゃない。なかなか侮れない箱ワインを冷蔵庫に忍ばせて、飲める夜にじゃばじゃばグラスに注いで飲む。夏は氷を入れたグラスに入れちゃうし、冬は鍋で沸かしたりする。箱ワインならそんなでもいいんじゃない、と独り言を言いながら、翌朝頭が痛くなるのも承知で飲むそんなワインも未だ嫌いではない。

 

東京都現代美術館でのプチ撮影が終わり、協働するアーティストと一緒にこじゃれたワインバーに入った。そこで出てきたおつまみが「からっからに干したえのき茸」であったので堀澤さんを思い出しつつ(彼もえのきをやたらめったら干したがる)、その店は銘柄で選ぶのではなく「飲みたいもののニュアンスを伝えてくれれば合うグラスワインを出します」という実に東京的な店だった。「これ以上ないってくらいに重い赤ワイン」「これが最後の店なので、これで終われるっていうようなワイン」という僕のリクエストに120%応えるワインが出てきた。

 

「頑張ってくれたから」とその店のお代はアーティストがもってくれた。より美味しかったことは言うまでもあるまい。