中之条ビエンナーレの関連事業的に、群馬在住・作家の絲山秋子さんが中之条ビエンナーレを訪れて、ディレクターの山重徹夫さんと話をするという一連を撮影した。その映像は現在県の「tsulunos」の湯けむりフォーラムの1コンテンツとして配信もされている。
小説家絲山秋子×総合ディレクター山重徹夫 中之条ビエンナーレ アートな散歩トーク(前編)
小説家絲山秋子×総合ディレクター山重徹夫 中之条ビエンナーレ アートな散歩トーク(後編)
小説家絲山秋子×総合ディレクター山重徹夫 中之条ビエンナーレ アートな散歩トーク(特別編)
これは無理やりなセッティング企画ではなく、そもそも絲山秋子さんは中之条ビエンナーレをプライベートで何度も訪れているというベースがあり、芸術祭の各会場における彼女の言葉は面白さに満ちていた。それぞれ長い動画ではあるが見ていただきたい。
その流れで、同じく「tsulunos」アカウントで公開されている土屋文明記念文学館でのインタビュー動画を見た。僕は絲山さんの小説の1ファンでもあるのだが、彼女の創作の仕方はとても興味深い。自らの頭の中で物語や登場人物の言動を決めていくのではなく、ふとした時から彼女にとって身近な存在?となった登場人物たちが、絲山さんの意とは別に動き出すというのだ。時には、その時書いている小説の登場人物ではない人物(過去に書いた小説の登場人物など)が話しかけてくるのだという。そしてどんなに忙しくても、その時その人物からの言葉をきちんと聞かないと、その人物はその後二度とその物語を語らないというのだ。
彼女のその創作方法が彼女だけのものなのかどうかはわからないが、一流の・・というか、人生をかけて小説を書いている作家というものは、そのように自分の頭や経験の中だけでは物語を転がしていないのだと思う。いつか小説を書こうと思っている(!)僕にとっては、あちこちに金言である。