『もののけ姫』では、森の神様はカモシカのような姿をしていて、彼が一歩一歩歩くたびに、足元の草が光り輝いて生え、足を話すとその草は枯れてしまうという描写がある。それはアニメーションであるしフィクションではあるが、「その人が歩いた道すじには花が咲いていく人」というのは、確かにいると思っている。
パンフレットで関わった東吾妻町の「serenite」のいくさんは、もしかするとそんな能力の持ち主なのではないかと思う(もののけ姫の神様みたいという例えは違いそうだけど)。前橋で根強いファンもいた「マムズケイク」という発酵玄米を主とした体をいたわる食事を提供していた店を閉じ、「この場所が気に入ったから」という理由で、そんなところで店をやりますか!?という東吾妻町岩島の木材場の一角にある小屋で「serenite」という店をはじめた。前橋、あるいはもっと遠いところからもわざわざファンが通い、憩いの場となっている。
打ち合わせに行くと、ヴィンテージグッズのコーナーに「Naot」の革靴があった。イスラエル発の長年愛せるその靴は扱うことも難しく、知人の一店を介しての販売ということだったが、手作り感もあるその靴は「serenite」にも合っていた。実は、僕は数日前にyoutubeで「Naot」を知った。それは靴への興味ではなく、「Naot」のyoutubeチャンネルには店でライブをする寺尾紗穂さんや奇妙礼太郎さんや高橋久美子さんなどの動画が上がっていて、どのアーティストもファンだったりするのでこの靴屋はセンスが良い!と思っていたのだ。今履いている靴もぼろぼろだし、これも何かの縁と1足購入した。
この靴を履いて歩いていくにあたり、足跡として僕は何を残せるのだろうかと考える。いい靴を買うとそれだけで気分が良くなる。年の終わりに、靴を買いに出かけてはどうだろうか?