5177声 今様とダンスミュージック

2022年07月12日

 

  • 歴史上の有名人で、権力者であるにもかかわらず、名言の少ない人物である源頼朝の唯一と言ってもいいと名言が、後白河法皇を評した「日本第一之大天狗」と言う言葉だ。

 

 

頼朝に大天狗呼ばわりされた後白河法皇だが、日本歌謡史に『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の編纂者として巨大な足跡を残したことは、昨日書いた。

 

梁塵秘抄は、当時の京都で大流行した今様を集めた歌集だ。今でいうオリコンの上位の曲の歌詞集をつくったみたいなものだ。残念ながら、歌いぶり、節回しといったリズムやメロディまでは記録されていない。だから、大河ドラマの今様のシーンは歌詞以外は想像のものだ。

 

義経の愛妾の静御前は、今様を舞う白拍子だった。

頼朝と義経が不和になり、捕らえられて、鎌倉に送られた後、鶴岡八幡宮において、頼朝夫妻の面前であるにもかかわらず、反逆者義経を恋い慕う歌を歌い、舞ったことは有名。『鎌倉殿の13人』でも、石橋静可が演じる静御前が毅然と舞う場面は印象的だった。

 

今様は、うたいながら舞う。これはまさに、ダンスミュージックということだ。最近流行る曲は、ほぼダンスミュージックだが、今様はその先駆的存在と言ってもいいとおもう。

 

 

そんな今様の記録である梁塵秘抄は、存在を知られながらも長いことう失われていて、発見されたのは明治44年、大正元年八月に編集刊行された。

 

 

仏の慈悲の光をうたった梁塵秘抄の詩篇は、当時の文芸芸術界に大きな影響を与えた。

 

 

北原白秋、斎藤茂吉、山村暮鳥、芥川龍之介・・・

このひとたち、ダンスまでしたのかは調べがついていないが。

 

 

最後に、昨日紹介した

「仏は常にいませども・・・

 

くらい有名で、わたしの好きな今様を紹介したい。

 

 

遊びをせんとや生まれけむ

戯れせんと生まれけん

遊ぶ子どもの声聞けば

わが身さへこそ揺るがるれ