- 歴史上の有名人で、権力者であるにもかかわらず、名言の少ない人物である源頼朝の唯一と言ってもいいと名言が、後白河法皇を評した「日本第一之大天狗」と言う言葉だ。
頼朝に大天狗呼ばわりされた後白河法皇だが、日本歌謡史に『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の編纂者として巨大な足跡を残したことは、昨日書いた。
梁塵秘抄は、当時の京都で大流行した今様を集めた歌集だ。今でいうオリコンの上位の曲の歌詞集をつくったみたいなものだ。残念ながら、歌いぶり、節回しといったリズムやメロディまでは記録されていない。だから、大河ドラマの今様のシーンは歌詞以外は想像のものだ。
義経の愛妾の静御前は、今様を舞う白拍子だった。
頼朝と義経が不和になり、捕らえられて、鎌倉に送られた後、鶴岡八幡宮において、頼朝夫妻の面前であるにもかかわらず、反逆者義経を恋い慕う歌を歌い、舞ったことは有名。『鎌倉殿の13人』でも、石橋静可が演じる静御前が毅然と舞う場面は印象的だった。
今様は、うたいながら舞う。これはまさに、ダンスミュージックということだ。最近流行る曲は、ほぼダンスミュージックだが、今様はその先駆的存在と言ってもいいとおもう。
そんな今様の記録である梁塵秘抄は、存在を知られながらも長いことう失われていて、発見されたのは明治44年、大正元年八月に編集刊行された。
仏の慈悲の光をうたった梁塵秘抄の詩篇は、当時の文芸芸術界に大きな影響を与えた。
北原白秋、斎藤茂吉、山村暮鳥、芥川龍之介・・・
このひとたち、ダンスまでしたのかは調べがついていないが。
最後に、昨日紹介した
「仏は常にいませども・・・
くらい有名で、わたしの好きな今様を紹介したい。
遊びをせんとや生まれけむ
戯れせんと生まれけん
遊ぶ子どもの声聞けば
わが身さへこそ揺るがるれ