少し前、連句をやっていた時期がある。
連句をすることを『歌仙を巻く』というので、その言い方にならうと、七巻きほどした。
先日、一緒に巻いていた連衆のひとりKさんと、また巻きたいね、ということで、また少し連句熱が高まってきた。
連句には式目といわれる決まりがあって、わりとめんどくさい。その中に月の定座といわれる、必ず月を詠まなくては行けない箇所というのがある。
順番がまわってきた中で、その季節の月を詠む。ちなみに、連句の中では、季節も変わっていく。なのでその季節にあった月を詠むことになる。夏なら「夏の月」だ。
連句(歌仙)の話は、改めてするとして、夏の月でわたしが好きな俳句は、村上鬼城の次の句だ。
麦飯になにも申さじ夏の月 鬼城
麦飯が貧しさの象徴たり得たのはいつまでだったろうか。今では、健康に気をつかうセレブの食べ物だ。鬼城が現代を生きていたならどんな夏の月の句を詠んだだろうか。
麦とろになんも言えねえ夏の月