5180声 夏の月

2022年07月15日

 

少し前、連句をやっていた時期がある。
連句をすることを『歌仙を巻く』というので、その言い方にならうと、七巻きほどした。

先日、一緒に巻いていた連衆のひとりKさんと、また巻きたいね、ということで、また少し連句熱が高まってきた。

 

連句には式目といわれる決まりがあって、わりとめんどくさい。その中に月の定座といわれる、必ず月を詠まなくては行けない箇所というのがある。

順番がまわってきた中で、その季節の月を詠む。ちなみに、連句の中では、季節も変わっていく。なのでその季節にあった月を詠むことになる。夏なら「夏の月」だ。

連句(歌仙)の話は、改めてするとして、夏の月でわたしが好きな俳句は、村上鬼城の次の句だ。

 

 

麦飯になにも申さじ夏の月   鬼城

 

 

麦飯が貧しさの象徴たり得たのはいつまでだったろうか。今では、健康に気をつかうセレブの食べ物だ。鬼城が現代を生きていたならどんな夏の月の句を詠んだだろうか。

 

麦とろになんも言えねえ夏の月