5181声 ハエたたき

2022年07月16日

草の戸や二本さしたる蠅たゝき   村上鬼城

 

わたしが子どものころは、どこの家にもハエたたきがあった。わたしが育った家にも二本くらいはあったとおもう。

 

今どきはどうなのかちょっとググってみると、基本的なものから、伸縮するもの、天井に対応したもの、さらには電撃タイプのものまである。

 

鬼城が現代に生きていたら、どんなハエたたきを使っただろうか。

 

草の戸の家では、ハエたたきが欠かせなかった。

 

武家の末裔として生まれた鬼城だったが、時代が変わり、武士の世は終わり、自ら草庵とよぶような草の戸の家に暮らす身となった。

 

しかし、武士の魂、二本差の心持ち、気概は失われてはいない。

ただ、草の戸の家にあるのは、刀ではなく、ハエたたきなのだが。