5185声 盆栽と人生

2022年07月20日

ここに来て新型コロナウイルスの感染者が過去最高を更新している。芥川賞と直木賞の発表も、大谷翔平のオールスター出場も後回し。ウクライナのことはずっとあとになってしまった。戦争は終わっていないのだとおもうのだが・・・。

 

 

さて、今日気がついたのだが、春先にもらってきたタイムが枯れかかっている。せっかく根づいたとおもったのに。

雨のかかりにくいところに植えたのが良くなかったのか、猛暑にやられたのか、また毎日水をやらなくてはならない。

 

 

社会人になりたてのころ、同じ職場の同僚?に再雇用の人が4人いた。みな第一線を退いた気楽さからと、それなりの立場を経験してきた実績から、新人であるわたしに様々な助言をしてくれた。

 

 

そのなかで、今振り返ってみて、一つだけ後悔しているものがある。助言を素直に実践してしていれば、違う人生があったかもしれないな、とおもうものだ。

 

 

 

それは、「盆栽」である。(仕事のことじゃないんかい!!)

 

 

「今から盆栽をはじめれば、二十年後、いいぞー」というようなことをいわれた。何鉢かくれるともいわれた。

 

「いやいや、丈夫なタイムですら枯らしてしまうような者ですから」と今のわたしでも答えていまいそうだが、なんと答えたのか・・・。水やりの心配の話もした憶えがある。

 

 

しかし、彼らの一人はこうわたしにいった。

「20鉢もあれば、水やりを忘れることはない」

 

 

ごもっとも。

 

 

しかし、若かったというか、盆栽について無知であったわたしは、盆栽をはじめなかった。

 

 

それから二十年後、大宮にある盆栽美術館に行く機会があった。小さな盆の中に、大自然を閉じ込める、盛り付ける技に感嘆した。そして、盆栽の中でも、松柏と呼ばれるものは、年月がものをいう世界であることを知った。いや、年月の大切さは二十年前から知ってはいたのだが。

 

 

クールジャパンというと死語になりつつあるが、盆栽は、その中でもかなり優秀なコンテンツで、欧米では若者が夢中になっているのだそうだ。高崎市と姉妹都市であるチェコのプルゼニには、なんと3軒の盆栽屋があるそうだ。

 

 

盆栽美術館で聞いた話では、EUには検疫の関係で土が持ち込めないのだそうだけど、土を使わなくてもよい方法ーーたしか、水苔で根を覆うと言っていたーーでバンバン輸出しているとのこと。

 

 

二十年前、盆栽をはじめていたら、今ごろ、ヨーロッパのどこかで、盆栽を売っていたかもしれない。