5203声 写真一葉

2022年08月07日

これから、写真をプリントアウトしに出かけなければならない。或る会報に私の顔写真を載せるので、写真が一葉必要なのだと、連絡をもらった。メールにデータを添付して送信、とはいかず、現物が必要なのである。俳句の世界ではしばしばあることで、先方のE-mallアドレスが分かればそれで解決なのだが、郷に入っては、ということで、先方の申しつけに従うことにしている。ところで、先月は七夕があり、私はやはり芭蕉の句、もそうなのだが、その頃は『サラダ記念日』(俵万智著)も思い浮かぶ。久しぶりに書架から抜いてぱらぱらやっていると、次の一首が目に留まった。〈書き終えて切手を貼ればたちまちに返事を待って時流れ出す〉そうなのだ、こういう細やかなコミュニケーションの心の機微にこそ、詩歌の発露があるのだ。以前に、堀澤さんがここで書いていた文章の中で、この頃はなんでも「判断が早い」と書いていた気がする。たしかに、日々、丁寧なコミュニケーションができているだろうかと、書き終えての一首からいささか反省に似た気持ちさえ覚えた。「コミュ障」なんて言葉も良く聞く。相手の心に向けてコミュニケーションできているのか、これは、自分に向けて言っている。