5246声 点景

2022年09月19日

午前5時に京都駅に着いてしまったので、西島さんが車で駅周辺で時間をつぶす。台風による雨はなかったが、朝焼けの上空を流れる雲が早い。着いて早々に「なか卯」を発見し、カメラや三脚をカウンター下に押し込んで親子丼と小うどんのセットを食べる。長距離バスに乗っていたからか、食道を通っていくご飯や汁の温かさが心地よかった。

 

出て時間があるので、地下へ降りる幅広い階段の中央の座れるスペースに座っていた。本を1冊持参してきたが今は読む気にもなれずぼーっと空を見る。ふと、近くの歩道に1人、20代らしき若い女性がぺたんと座り込んでいる。徹夜で酒でも飲んでいたのだろうか。すぐに彼氏なのか友達なのかわからない同年代の男性が来て、彼女の両手をつかむと、ぐいと起こそうとする。女性はその手を払うようにして自分で立ち上がるとたたーっと駆けていった。が、僕が座る幅広い階段は若干遠くまで見渡せる場所だったので、駆けていった女性が先の通路でまた同じように座り込む様子が視界に入ってきた。しばらくして、また同じ男性がやれやれというような歩き方で女性に近寄っていき・・しばらくそのような追いかけっこを繰り返して、見えなくなった。

 

京都での撮影が無事終わり。予定通り今日のうちに深夜バスで帰ることにした。年がいもなく、深夜バス2連泊である。

 

帰りのバスを待つころには、台風は中国地方にいたのかな、雨風も強くなってきて、駅からバス停まではビニール傘をさして歩く必要があった。やや遅い昼食に豪華な中華料理をごちそうになってしまったので、夕食はごく簡単に済ませていた。ふと、バス停の正面に美味しそうな焼き肉屋がある。値段も良心的で外から見える店内の奥行のあるカウンターでは、美味しそうに一人焼肉を食べる人たちが見える。ちぇっ、どうせならここで食べても良かったかななどと思っていると、その焼き肉屋から髭面のアラブ系の男たちが3人、強い雨から逃れるように、バス停の軒下まで駆けて出てきた。3人で何語かわからない会話を機関銃のように続けている。とはいえにこやかな感じで話していたから、ここの焼肉は思ったより美味かったな、みたいなことを話していたのかもしれない。やや離れた距離からじっと3人を見ていたら、そのうちの1人が西を指さし、着ていた上着を頭にほっかむりにするような体制で、駆けて行ってしまった。残った2人は何か少し話した後で、東の方に同じような恰好で駆けて行ってしまった。観光ではなく、このあたりに住んでいる3人なのだろうか。

 

しばらくして、台風の影響もなく、深夜バスが到着した。