5250声 You are my hope, you are your hope

2022年09月23日

アーツ前橋の動画撮影を今も担当させていただいている。今現在展示されているのは中堅作家を紹介するシリーズ「Art Meets」の7回目。後藤朋美さんと田村尚子さんの作品を入場無料で観ることができる。

 

後藤朋美さんは、アーツ前橋が初期から続けていた「表現の森」プロジェクトで、のぞみの家という母子支援施設(夫からDVを受けた等の)と協働してのプロジェクトにも関わってきたアーティスト。自然に存在する氷や塩、植物なども使って作る作品はどれも「自然体の愛」に溢れていて、僕もとても好きなアーティストである。

 

田村尚子さんは、主に写真を使って人や場所、事象の存在を自身というフィルターを通して定着させるアーティスト。その作家活動の中ではドキュメンタリー界隈との接点も多く、たまたまお話した時に僕も関わった山形ドキュメンタリー映画祭や、映像作家のペドロ・コスタの名前が出てきてとても嬉しくなった。

 

そんな2人が8月に行った「あーつひろば」(アーティストが、子どもとともに何かを行う企画)の編集を続けている。田村さんは、子どもたちにポラロイドカメラを持たせ街歩き。撮った写真を並び替え言葉を添えることによって子どもたち自らに物語を作らせようという企画。スマホとは違い、自分が切り取った景色が物体として現れるポラロイドカメラ。子どもたちは興味津々で、文章で作るものとは違う物語作りの面白さに触れている気がした。

 

そして、後藤さんは自身の作品である球体型の、大人でも4~5人は入れる大きなドームを館内に組み立て、そのドームの中に親子を招き入れ作品を駆動させていた。金色にぴかぴか光る丸やハート形の紙。お父さんやお母さんがそれを頑張って集めて、ドーム内の機械の穴に入れる。すると、そのぴかぴか光る紙は筒内を風に押されてどんどん上昇。ドーム内に、まるでスノードームのおもちゃのように紙吹雪を降らせるという作品だ。一緒になって紙をかき集めていた子どもが上を見上げた時の顔、床に寝そべって降ってくるぴかぴかを眺めている顔。参加した子どもたちは(大人たちは)みないい顔をしていた。

 

その作品の名前は「You are my hope, you are your hope(あなたは私の希望、あなたはあなたの希望)」。良い。とても良い。動画は近いうちにアーツ前橋youtubeアカウントで公開予定。見てね。