5252声 章三さん

2022年09月25日

北軽井沢へ休みに来た。昨年1年以上かけて撮影してきた「きたもっく」が経営する「ルオムの森」で小さなマルシェがあり、飲食で参加してくれる人を探していて僕が中之条町の「ニューサイトウ」を紹介した手前、もし雨だったりしたらたくさん買い込んで家族親戚に配らねばと(案外、ぼくそういう事に対しては真面目なんです)そういう意図もあった。

 

野菜たっぷりのタコライス弁当等はそこそこ順調に売れているようで、ちょっと安心はしつつ、僕も野菜たっぷりの鳥照り焼き弁当を買って、ルオムの森のイートインコーナーからは離れたベンチでむしゃむしゃと食べてみた。ルオムの森と称された建物は築100年を越える洋館、周囲は木々だらけ、日差しは優しい、天国みたいな時間であった。

 

弁当を1つ余分に買い、「きたもっく」の撮影でもお世話になった北軽在住、「森の写真館」の田渕章三さんの家を訪ねた。田渕さんはお兄さんと共に広告制作会社「エジソン」を立ち上げ、商業写真でその腕一本で東京の80年代あたりをぐいぐい攻めていた写真家だ(なにこのいい加減な説明)。今日聞いた昔話では、クライアントに対して完璧なラフを提出して契約。その後に電通などの広告代理店が決まり加わる案件もあったというから、じつにぐいぐいしていたのだろう。

 

現在は、自身のパーキンソン病と向き合いながら北軽の山小屋で暮らしている。僕とはたまたま知り合っただけだけど、仕事や遊びで何度も泊めてもらったし、手のかかるおじさ・・いや、表現の大先輩として非常に尊敬している。いやこれマジで。

 

今日は、娘の写真家・田渕三菜さんが昔撮った森の写真を、章三さんが時間をかけて選別、トリミング、加工をした写真カレンダーを見ながら色々話を伺った。「岡安、いいか、接点ってのが大事なんだ、人が写真を見たときにそんなに時間をかけて丁寧に見てはくれない、だから、一瞥した時にはっと目に留まる、その接点で勝負しなきゃいけない」というような話。

 

訪ねる機会は多くないが、まだまだ章三さんから学びたいことは多い。