地元映画祭にも深く関わっているので、映画の情報はちらちら入ってくる(と言っても、知人がSNSで投稿するものが主である)。いい映画というのは複数人がそれについて語っていることが多く、やはり複数人がわざわざ投稿している映画は良い映画に違いないと思ったりする。公開はもう一昨年のようだが岨手由貴子監督『わたしは貴族』もそんな流れで知った映画だった。「もう信じられんくらい良い!」という投稿よりは「良かった」のようなしみじみした感想が多かったように思い、むしろそれが好感だった。
Netflixにて鑑賞。タイトルからして『下妻物語』(例えが古い)のような地域格差を皮肉った内容かと思っていたら、確かに東京に生まれ生まれながらにして成り上がりコースが決まっていたような人たちと、地方から東京へ出た人、という構図の映画とも言えるが、どちらかがどちらかをあざけ盛り上げるような内容ではなく、「そうやって生まれ育った人たちが出会って分かれて」という成り行きを静かに見つめる格式も感じる映画だった。良かった。
今年になってから「映画を観たい」と思うようになった。何まわり目のその欲求であろうか。時間をつくって観ていきたいと思う。