今日のお客様は同い年の板前仲間。久しぶりに会ったが元気そうで何より。昨日今日で握りもだいぶ改善された。カウンターに仕切りがなくほとんど段差もないため、お客様との距離はある程度近い。カウンターの内側からお客様までを115cmにしてあり、設計した我ながら絶妙な距離だと思う。お客様にこちらの圧迫感があってもよくないし、臨場感がないのもよくない。いずれにせよこちらからお客様がよく見える。昔、最初に始めたなつめという店の時、接客がしたいとずっと感じていた。20代後半の話である。その店もカウンター席がありいくらでも接客はできたはずだが、料理に忙しくそこまでの余裕がなかった。今の店は予約制であることと席数が少ないこと、席数が少なくてもやっていける客単価であることで、接客をすることができる。何より準備の徹底が当時と違う。営業時間中の自分の動きの限界がわかるから、できる限り細かいところまで準備するようにしている。経験もあるだろうが、この準備が余裕を生んでいるのだと思う。もうたくさんのことはできない。歳を取って、これもできるかもしれないなんていう漠然とした観測がなくなった。選択肢が少なくなったことで、できることが増えた。