5208声 あたらしい家中華

2023年12月04日

料理はかなり好きなので、料理雑誌をたまに買う。1冊の中から2~3個作れば良い方で、たいがいはそのまま読まなくなったり、1品を作るだけに買った豆板醤やクミンスパイスなどが台所で開かずの調味料となっている。・・が、出版することをSNSで知り楽しみにしていた本がある。メディアでも取り上げられて売れている、酒徒著「あたらしい家庭中華」(マガジンハウス)である。

この酒徒さんという人の存在は、SNSで知っていた。料理人や料理研究家ではなく、中華料理愛好家を名乗り、中国を渡り歩いての成果をツイッターやnoteに上げていた。そのどれもがシンプルで美味しそうで、でもnoteは課金しないと読めないようになっていた。そして、満を持しての初レシピ本の販売である。

中華料理というと、四川、広東、上海、北京、全体のイメージとして油こってこての濃くて香辛料が効いた味、というものがあるが、この本の良いところは「飲食店ではなく、普通の家庭の味をリサーチして再現」したところ。特殊な調味料は使わず基本は塩、醤油くらい。紹興酒を使ったりはするが、出汁を特別に作ることもなく、素材となる野菜や肉の持ち味と、火の通し方の組み合わせであっさり飽きない味になる。普段やらなかった「蒸す」という工程が多く、野菜も肉も蒸すことでこんなに美味しくなるのかという驚きもあった。

もう2回作ったが、例えば里芋の葱油炒め。大量の里芋を柔らかくなるまで蒸し、皮を剥く。菜種油でネギを炒め葱油を作り、蒸した里芋を入れてごく少量の水と塩を入れ鍋を振る。それだけで、とろっとろの里芋が葱の香に包まれ、ちゅるんちゅるんと胃に吸い込まれていく。

一言でほめるなら、どの料理も(まだ6品くらいしか作っていないが)「母ちゃんが子どもに小さいころから食べさせていたら、おふくろの味になる」感じなのだ。素朴で、飽きない。しみじみと旨い。

「あたらしい家庭中華」は書店員のおススメや口コミで売れているらしい。僕も、仕事でお付き合いのある普段から料理上手・・というか料理マスター的な人にあえて読んでみせたくて、2冊目を購入した。