5669声 アジフライ

2023年12月15日

アジフライの名店、というと、もはや食べることができない、築地場内にあった「豊ちゃん」が浮かぶ。狭い店内には、観光客はもちろん、魚河岸で働く長靴のお兄さんたちもたくさんいた。店の人も人数は多めで、揚げる人、ご飯を盛る人など分担作業で行われていたように思う。かなり年のいったおばあさんもテキパキ働いていた。

「豊ちゃん」のアジフライの特徴は、魚の新鮮さとふっくら具合だったように思う。生臭さは一切なく、白身魚のように身が厚くふっくらしていた。もちろん衣はカリっとしている。この店は「あたまライス」と呼ばれるトンカツも有名であったが断然アジフライであった。もう食べられないということが、よけいに美味しかったと思わせている。

そして。群馬であれば僕はアーツ前橋のそばにある「里の家」のアジフライを挙げたい。今日はアーツ前橋で撮影であった。途中昼をはさんだので、カメラと三脚のバックを抱えたまま店に滑り込んだ。こちらの店も、なかなかに狭い。

「里の家」のアジフライは特殊だと思う。そもそも、ソースも醤油もかけなくても薄く味がついている。この味が、何味だか説明もできぬ淡い味なのだが、とても良い。小さくついてくるタルタルソースをちょっとつけるだけでとても美味しい。そしてランチのご飯は自分で盛り放題。この米もたいへん美味しい。

ほくほく食べていたら、入り口がガラガラ空き、店主との話を聞いているにどうやら店の大将の誕生日で、誰かから花が届けられた、ということらしい(入り口を開けて入ってきたのは花屋)。愛される大将がいる店は、たいがい美味しいに決まっている。