当時はそれほどたいした事と思っていなくても、後々になって思い出す言葉がある。
ずいぶんと前の事だが、僕の母校である日本映画学校の学生たちが中之条町の職人たちを取材した。何人か取材した中に陶芸家夫婦がいたのだが、その奥さんがぽろっと
「こういう生き方しかできなかったんですよね」
とこぼした。それは、会社つとめなどではなく陶芸家として自分なりにやっていくしかなかった、という話なのだが、聞いた時は特別記憶に残る話ではなかった。
最近、色々なことがあって自分の今までをぼんやり振り返り、今現在の不甲斐なさを反省・・というか呆然たる気持ちが沸いたりするのだが、では違う人生が良かったかといえばそうではなく、結局は
こういう生き方しかできなかった
と思う。謙遜や自虐というよりはむしろ、自己肯定でもあるんじゃないかな。来年はもっと・・と高望みはせず、もう少しはマシな生き方ができるようにしたい。