体制が変わってからも、アーツ前橋で仕事をさせていただいている。森美術館の立ち上げにも関わった南条史生さんが特別館長になり、10年前の開館当時からいる学芸員は辻さん1人になってしまった。様々な入れ替えがされる前は収蔵作品を選んでの展覧会が続いたが、新体制で世界的に有名な作家の作品を集めたお祭りのような「ニューホライズン展」が終わり、以前から続く地元アーティスト主体の「前橋の美術展」が終わり、今行われているのはファッションというジャンルながらもアートと重なる表現を続けるリトゥンアフターワーズによる展示となる。
展覧会の動画撮影を終え、インスタ用の動画も作成し公開となった(時代に沿う、縦型の動画制作も慣れてはきた)。ファッションは自分から遠い分野なのだが、展覧会タイトルとなっている「ここに いても いい」という言葉には親しみを感じる。ブランドを起こした山縣良和さんが「ファッションは一部の人のものではなく生きている人は、皮膚も含めてファッションである。震災やコロナも経て、すべての人がここにいてもいいと思えることが大事だと思っている」というような話を語ってくれて、そういう社会的な問題を重ねながら展覧会を回ると、発見が多い。
昨年末、大きなアクシデントがあって「もうここにはいられない」と思った数日があった。本気で、群馬も離れてどこかの町で下を向いて暮らす自分がイメージできた。それは、とても辛い日々だった。ほとんどの人が当たり前のように思っている「ここにいてもいい」という感覚は、実は、当たり前ではない。(アクシデントは解決し、今はなかなか安心した暮らしです)