昨年から、三輪途道さんの活動を撮影し続けている。下仁田在住の彫刻家、三輪さんが代表を務める一般社団法人メノキの福西敏宏さんから依頼をいただき、三輪さん周辺で起きることをドキュメンタリーにすべく記録をしている。
三輪さん周辺で起きること、とはどんなことなのか。彫刻家である三輪さんは、精密な木彫作品を作っていたが、30代後半で網膜色素変性症という目の病気により視力を失った(今も光は感じるとのこと)。普通の作家・・というか普通の人であればそれで行き止まってしまいそうではあるが、三輪さんは制作を続けた。現在は、木彫から粘土に材料を変え、脱乾漆(粘土に漆を塗った布を貼り、乾いた後に中の粘土を抜いて、漆を塗り完成させる手法)の作品を制作している。
「個人プレーから団体プレーに変わった」
と三輪さんは語る。身の回りのことは器用にこなす三輪さんではあるが、外出の際にはサポートをする人と共に行動する。三輪さんの言葉は、そういった人の手助けを受けながら生活や制作をすることを指すだけではない。一般社団法人を立ち上げ、目が不自由な人も文化芸術に触れられる機会を増やすべく活動をしている。今月も2度、群馬県立女子大と、共愛学園前橋国際大学にて、学生を相手にワークショップを行いその様子を撮影した。
ワークショップ後、教授が「午後の授業は眠そうな学生もいますが、今日ははっきり話を聞いてましたね」と話された。三輪さんはいつも真剣なので、その話はまっすぐに学生たちに届くのだろう。