5834声 映像は所詮、まなざしの共有

2024年05月28日

普段良く通る通りではあるが、一歩足を踏み入れると異世界、ということはあるように思う。一歩足を踏み入れると「視聴学」という見慣れない単語が書かれた小さな立て看板があった。オーナーの島田さんに挨拶をすると、グラスを手渡される。奥さんのクリステンさんが一升瓶を持ってきてくれて軽く一杯。家の離れの倉庫にまた一歩足を踏み入れると、そこはソファーと椅子数台があるだけの8畳ほどの映画館になっている。この日この回の上映会の参加者は島田さん夫婦を含めて6人、それで満員だった。

島田さんの知人でもあるというカルダー・マーティンという人の映像作品3本を見た。彼が若い頃に作ったという映像は、自分で演奏しているというノイズミュージックにテレビ?からキャプチャーしたという鷹の映像が重なる。アナログ的手法で作られたその映像は超個性的。一番新しい映像は、数時間前に完成しデータとして送られてきたものだと言う。まだ編集に納得がいっていないらしく、明日の上映では更新バージョンが上映されるかもとのこと。「スライス・オブ・ライフ」と島田さんが形容していた通り、その映像にはアメリカで暮らすマーティンさんの日常が物語形式ではなく断片的に繋がれていた。ここ「視聴学」は中之条町に移住した島田さんの私設シアターで、月に一度ペースで上映会を開いている(この日は第二回目だった)。

個性的な映像を見たな、と思う一方で、映像は所詮、まなざしの共有なんだよな、とも思う。