6177声 モノに対する態度

2025年05月06日

雨模様の連休最終日。忙しくはならない気もするが予約があるため早くから仕込み。今日が終わるといったん仕事が落ち着く。2週間くらいの慌ただしい日々だった。その中で訪れた富山南砺の旅が深く心に残る。富山県南砺市は浄土真宗の町。田んぼの間に家が点在する散居村の景観である。遮るものがない水田が視界の向こうまで重なりちょうど田植えの時期の田んぼには水が張られキラキラと輝いていた。重厚な能登瓦の立派な屋敷が多く寺も多い。何とも言いようのない穏やかな空気の町である。「他力本願」。思い通りにいかないことを思い知っている者の慎ましさ。その空気が溢れている南砺を柳宗悦は「土徳」の地と呼んだ。今回の旅でお会いした大福寺の太田住職はこう言っていた。「モノに対する態度が問われているんじゃないですかね」。出来上がったものはウソをつけない。雑な態度は完成品にこそ出る。仕込みのとき、お客様を前にして、旅以来ことあるごとに思い返す。