ビビンバ、チヂミ、キンパ巻き・・韓国料理に美味しいもの数多くあれど、僕はカムジャタンに人一倍の思い入れがある。その料理名を初めて名を耳にする人もいるのではないか。
前橋の朝鮮学校の撮影で知り合った里香さんの「スペシャルなコチュジャン」(何度かいただいている。非売品。超おいしい)が少し残っていたので、ふと自分でカムジャタンを作ることを考えた。ググったら、豚のスペアリブで作れる。味のアクセントになるエゴマの葉っぱもスーパーで手に入れた。骨から出る旨みもあるのだろう、コチュジャンと味噌のスープがじゃがいもや大根に染みてとても美味しく作れた。
だがふと、あれは牛のテール肉ではなかったかと思い出しググると、そのパターンもあるらしい。あれ、とは、東京で食べたカムジャタンのことである。20歳過ぎの僕が「山形国際ドキュメンタリー映画祭」の事務局スタッフをしていた頃、その頃は東京事務局が河田町にあって、そこで事務仕事などをしていた。夕方の5時になると、映画祭の顔だった故・矢野和之さんが「岡安くん、ビール買ってきて」とお金をくれる。食材を買って小さなキッチンで僕がパスタを茹でみんなで食べたこともあった。そして時たま、歩いてすぐの場所にあった韓国料理屋(名前も覚えていない。まだあるのだろうか)で冬に何度か連れて行ってもらって食べたのが、牛のテール肉が入ったカムジャタンだったのだ。
初めて食べたカムジャタン。骨付きの肉をしゃぶるようにがっつき、じゃがいもがめちゃくちゃに美味しかった。そして味と同じくらい大切だったのは、矢野さんを始めとした尊敬する映画祭スタッフと共に囲んだ鍋だったことだ。同じ鍋を囲むことは、もうできない。
今回、残った汁がもったいなくて、冷凍うどんを入れて焼きうどんにした。焦がすくらいに焼き付けるとじゃがいもが溶けたものが焦げて麺に絡まってとても美味しい。これはこれで、美味しい味。

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