1218声 鼻から万国旗

2011年05月02日

「しゅるしゅるしゅる」
脳内に刺し込む激痛の為、目を閉じてしまっていたので、
その全貌は分からないが、およそ、3、40cm位はあったのではないかと思われる。
私の鼻から引き抜いた、ガーゼが、である。

鼻の骨を真っ直ぐにする処置を受けて以来、
私の鼻の中には、長いガーゼが詰まっていたらしい。
らしい、と言うのは、処置を受けている際、
私は全身麻酔で寝ていたので、その現場を見ていなかった。
これによって、完全に鼻呼吸は断たれ、四六時中、
口を半開きにしておらねばならぬ生活を、余儀なくされた。
味覚の鈍化と、頭痛と耳鳴りも、おまけとして付いてきた。
その元凶と思われるガーゼを、今日、病院で抜いてきたのである。
「万国旗か」
と、つっこみたくなるほど、長いガーゼであった。

抜いた瞬間は、痛みも有るが、鼻血が勢い良く、垂れ落ちた。
その黒ずんだ色を見るに、鼻の中で溜まっていた血が、出て来たらしい。
あまり、バイオレンスな描写を書いていると、読者も気分を害してしまうであろう。
そして、これから、鼻骨骨折の処置を受ける患者諸氏に、
無用な恐怖を与えてもいけないので、これくらいに留める。

激痛など、ほんのわずかな時間なので、おそるるに足らず。
それよりも、鼻呼吸の爽快感を味わえる喜びの方が、大きい。
「鼻の固定具は付けておいて下さい」
と、形成外科の先生から言われたものの、病院を出る頃には外して、
鞄の奥底にしまっていた。

「さて、何を食おうか」
まずは、それである。
ジョッキの麦酒をゴクゴクと、飲みたい。
つぎは、それである。

【天候】
終日、薄曇りの穏やかな日。