1220声 解禁と復活

2011年05月04日

解禁。
と言うほどでもないが、半月前の鼻の骨を折った日から、
断酒していた酒を、飲んだ。

とりあえず、生麦酒から飲んでみた。
およそ半月も酒を遠ざけていたので、
さぞや至高の喉越しとなるだろうと、淡い期待を一口目に寄せていた。
「ゴクリ」と、まず、一口。
クリーミーな泡を上唇に感じつつ、舌先を滑って、
ホップの爽やかな香りと共に、麦酒が喉に駆け込んで来る。

「意外と薄い」
味も、喜びも、である。
どう言う訳か、紛れもなく、よく飲んでいる銘柄の国産生麦酒なのに、
随分と、薄く感じる。
そして、胸中を満たすであろう満足感が、胸の三分目で、止まっている。
どうしたことか、腑に落ちぬ感慨を抱きつつ、二口、三口。

いまはまだ、二杯目から三杯目に移行する、極初期の段階である。
その段階において、したたかなる酔いを、感じている。
普段、そんなに弱くはないし、体調もすこぶる良いので、意外に感じた。
やはり、半月の断酒によって、肝機能の働きが低下してしまったのであろうか。
鼻血が大量に出た事によって、アセトアルデヒド脱水素酵素が、
不足してしまったのであろうか。
其処から無理をせず、自らの体の声に耳を傾けつつ、店を辞した。

夜風が撫でる鼻の中央部が、いささかジンジンと熱を帯びている、感覚。
それは、果たして、アルコールによるものなのか。
先程、おしぼりで顔を拭いた時に、グリッ、と指が当たった衝撃によるものなのか。
確かではない。
只、現時点においての確かな実感は、この、心地好いアルコールの酔い。
その浮遊感の裏側にある、復活の手ごたえ、である。

【天候】
曇りのち晴れ。
午後より、やや風強し。