湖の上には、スワンボートが4、5艇浮かんでいる。
岸から出て行くボートに、岸へ戻って行くボート。
ボートの後から出て来る水が、夏の日を浴びて、輝いている。
若葉が萌えている木陰の下。
ベンチに座って、ぼんやりと、湖を眺めていた。
三ッ寺公園。
と言う、この郊外の公園は、今も私が子供時分に見ていた風景と、
左程、変わっていない。
近頃は、子供を連れた若い夫婦が増えた様に思う。
それも、自分が子供だったので、当時は子連れの夫婦など、
目に入らなかっただけかも知れない。
ともあれ、園内には、湖や庭園や川や遊具など、懐かしい自然風景がある。
釣竿や虫取り網を持って、来ていた時分。
まさか自分が大人になってから、俳句帳をもって、
この公園に遊ぶとは、思いもしなかった。
日盛りの公園内を観察していると、様々な発見がある。
そう言う施設の方々だと思うが、
車椅子のお年寄りなどを連れた一団が、散歩をしている。
湖の畔で、水筒を出し、皆、気持好さそうにお茶を飲んでいた。
噴水では、殆ど裸になった子供等が、飛び散る水と遊んでいる。
見守りながら、時に鋭い声で注意しているお母さん。
明日の仕事の事など考えているのだろうか。
木陰に座ってぼんやりとしている、お父さん。
来ている若い夫婦の年齢が、ともすれば、私よりも皆、
年下に見えた。
まさに、老若男女。
公園の自然で、午後のひと時を、憩うている。
自販機で買ったコーラを飲みつつ、園内をほっつき歩いて、
そんな光景を眺めている、私。
俳句帳に句を書き込んでいると、怪しい、のだろうか。
夏の木洩れ日の如く、時折、刺さる、すれ違う人の鋭い視線。
暖かな風に眠気を誘われ、帽子を顔の上に乗せて、
一寸、ベンチに横になっていた。
ふと、気が付けば、風が、微かな湿り気を帯びていた。
帽子を取って、起き上がると、夕焼けが始まったばかりの空。
湖の上に動いていたスワンは、皆、桟橋に繋がれ、
さみしげに揺れていた。
【天候】
晴れて暖かな一日。
風も少なく、穏やかな行楽日和。