1231声 スワンボート

2011年05月15日

湖の上には、スワンボートが4、5艇浮かんでいる。
岸から出て行くボートに、岸へ戻って行くボート。
ボートの後から出て来る水が、夏の日を浴びて、輝いている。
若葉が萌えている木陰の下。
ベンチに座って、ぼんやりと、湖を眺めていた。

三ッ寺公園。
と言う、この郊外の公園は、今も私が子供時分に見ていた風景と、
左程、変わっていない。
近頃は、子供を連れた若い夫婦が増えた様に思う。
それも、自分が子供だったので、当時は子連れの夫婦など、
目に入らなかっただけかも知れない。
ともあれ、園内には、湖や庭園や川や遊具など、懐かしい自然風景がある。

釣竿や虫取り網を持って、来ていた時分。
まさか自分が大人になってから、俳句帳をもって、
この公園に遊ぶとは、思いもしなかった。
日盛りの公園内を観察していると、様々な発見がある。

そう言う施設の方々だと思うが、
車椅子のお年寄りなどを連れた一団が、散歩をしている。
湖の畔で、水筒を出し、皆、気持好さそうにお茶を飲んでいた。
噴水では、殆ど裸になった子供等が、飛び散る水と遊んでいる。
見守りながら、時に鋭い声で注意しているお母さん。
明日の仕事の事など考えているのだろうか。
木陰に座ってぼんやりとしている、お父さん。
来ている若い夫婦の年齢が、ともすれば、私よりも皆、
年下に見えた。

まさに、老若男女。
公園の自然で、午後のひと時を、憩うている。
自販機で買ったコーラを飲みつつ、園内をほっつき歩いて、
そんな光景を眺めている、私。
俳句帳に句を書き込んでいると、怪しい、のだろうか。
夏の木洩れ日の如く、時折、刺さる、すれ違う人の鋭い視線。

暖かな風に眠気を誘われ、帽子を顔の上に乗せて、
一寸、ベンチに横になっていた。
ふと、気が付けば、風が、微かな湿り気を帯びていた。
帽子を取って、起き上がると、夕焼けが始まったばかりの空。
湖の上に動いていたスワンは、皆、桟橋に繋がれ、
さみしげに揺れていた。

【天候】
晴れて暖かな一日。
風も少なく、穏やかな行楽日和。