1238声 醤油の色は夜の色

2011年05月22日

いま、隣の人から廻って来たお猪口。
中に入っているのは、日本酒。
ではなくて、醤油。
そこに人差し指を突っ込んで、指ごと、醤油を舐める。
そして、日本酒が入っているお猪口を、口に運ぶ。
つまり、醤油を肴に呑んでいるのである。

「醤油ナイト」
と言う催しが、昨晩、ほのじで開催された。
読んで字の如く、「醤油」づくしの、一晩を過ごそう。
と言う、至極、単純明快な集まりである。
プレゼンターとしていらしたのは、「職人醤油」社長の高橋万太郎氏。
始まってまず、日本列島津々浦々で醸造されている、職人仕立ての醤油を、
それに合う、様々な料理で味わう。
バイキング形式の机の上には、あくまで、「醤油に合う」。
と言う視点で、醤油を主役に抜擢した、料理の数々が並んでいる。

一つ一つ、キャラクターの違う醤油。
「アボカドには、これ」
「刺身にはこれで、卵かけご飯には、これ」
と言う風に、楽しみ方は千差万別。
スーパーで貰える、無料の刺身醤油が美味い。
と思っているような、鈍感な、いや、おおらかな味覚を持つ私でも、
各醤油の味の機微に、驚いた。

小林頼司君の、アコースティックな演奏が終わる頃には、
私の周辺の一部、すでに、心地好く酔っていた。
それは、彼の歌が、醤油に合っていた、と言う事が大きく起因している。
つまみに醤油、カレーに醤油、シフォンケーキに醤油、飛び交う話も醤油。
しょっぱい奴らが、更に、しょっぱくなって行く。
夜も更けて、最終的に、お猪口に様々な醤油を入れて、廻し飲み。
ならぬ、廻し舐め。
醤油の色は夜の色。
お猪口の中で鈍く光っている醤油は、
妖しげな夜の色をしていた。

「この醤油はなんですか」
なんて、食事をした際に、思わず聞きたくなってしまうような、
いま、そんな心持でいる。

【天候】
朝から薄曇り。
午後から風、雨。