1243声 薔薇句会

2011年05月27日

昨夜は定例の句会。
先生のお宅に伺って、参加者一同で、席題を考える。
雨が降っているので、まずは、梅雨。
皆が夏服だったので、衣更と、あと、と言うところで、
「薔薇」と言う季題が出た。
視線を移すと、部屋の隅に、紅い薔薇が数本、活けてあった。

作って出して、さて、句会。
用紙に並んでいる参加者の句を見ていると、
やはり、圧倒的に薔薇の句が多い。
私と先生を除いて、参加者はすべて女性。
薔薇に対する思いも、私などより強いのだろうか。
私も、薔薇の句は1、2句出してあるのだが、完全に他の句の中に、
埋もれてしまっている。

結果、自分の句は惨敗。
やはり、人気があったのは、薔薇の句。
必死に外をほっつき歩いて、遠蛙だの、若葉雨だのを詠んで来た、
私の労は報われなかった。
他の女性陣は、ものの見事に、花瓶の赤い薔薇を詠んでいた。

必死に作った薔薇の句を出して、それが、誰にも採ってもらえない。
しかも、女性陣に、である。
薔薇の花束をプレゼントして、目の前で踏みにじられる。
何だか、そんなような経験こそないが、そこはかとなく、
情けない心持になった。

「薔薇なんて嫌いだ」
などと、自分の気持ちをなだめようとしたが、
薔薇の色香に誘われて、また、ペンを取ってしまうのだろうと、思った。
久保田の一升瓶を傾けている先生は、先程から頬の色が、
いささか薔薇の様になって来た。
世間話をしながら、大声で笑いつつ、薔薇の佳句を作る女性たちを、
おそろしい、と感じた。
机の上の、お茶菓子を自棄食いして、夜半に宅を辞した。

【天候】
終日、小雨交じりの曇天。