昨夜は定例の句会。
先生のお宅に伺って、参加者一同で、席題を考える。
雨が降っているので、まずは、梅雨。
皆が夏服だったので、衣更と、あと、と言うところで、
「薔薇」と言う季題が出た。
視線を移すと、部屋の隅に、紅い薔薇が数本、活けてあった。
作って出して、さて、句会。
用紙に並んでいる参加者の句を見ていると、
やはり、圧倒的に薔薇の句が多い。
私と先生を除いて、参加者はすべて女性。
薔薇に対する思いも、私などより強いのだろうか。
私も、薔薇の句は1、2句出してあるのだが、完全に他の句の中に、
埋もれてしまっている。
結果、自分の句は惨敗。
やはり、人気があったのは、薔薇の句。
必死に外をほっつき歩いて、遠蛙だの、若葉雨だのを詠んで来た、
私の労は報われなかった。
他の女性陣は、ものの見事に、花瓶の赤い薔薇を詠んでいた。
必死に作った薔薇の句を出して、それが、誰にも採ってもらえない。
しかも、女性陣に、である。
薔薇の花束をプレゼントして、目の前で踏みにじられる。
何だか、そんなような経験こそないが、そこはかとなく、
情けない心持になった。
「薔薇なんて嫌いだ」
などと、自分の気持ちをなだめようとしたが、
薔薇の色香に誘われて、また、ペンを取ってしまうのだろうと、思った。
久保田の一升瓶を傾けている先生は、先程から頬の色が、
いささか薔薇の様になって来た。
世間話をしながら、大声で笑いつつ、薔薇の佳句を作る女性たちを、
おそろしい、と感じた。
机の上の、お茶菓子を自棄食いして、夜半に宅を辞した。
【天候】
終日、小雨交じりの曇天。