「さうぢやない」
と、旧かなづかいで記載する事によって、
若干の威圧感を持たせようと言う趣向、である。
趣向はよいのだが、「そうじゃない」と、声にならない声が、
我が胸中にこだましていた。
場所は、コンビニエンストア店内。
入店し、飲み物を買おうと、店内奥の飲料クーラーへ向かった。
クーラーの前には、女子高生が二人。
私は目撃した。
左の子が、コカコーラのペットボトルを手に取った。
すると、すかさず、右の子がツッコミを入れる。
「えっ、ゼロじゃないとヤバくね」
「ゼロ」と言うのは、糖分ゼロ、保存料ゼロ、合成香料ゼロと言う商品。
最近では、「ゼロフリー」なんて商品まであり、
糖分ゼロ、保存料ゼロ、合成香料ゼロ。
そして、カフェインまでゼロ。
じゃあ、何を飲んでいるのか。
などと、素人考えで思ってしまう。
それから、その右の子。
ゼロコーラの安全性、普通のコーラの危険性を、学者の如く論じている。
「この赤色が危険じゃん」
などと、ユーモアを交えつつ、左の子を説得して行く。
遂には、左の子。
一度手に取ったコーラを戻し、ゼロコーラを手に取って、レジへと向かった。
私は左の子を、真のコーラフリークと見た。
巷の風潮では、猫も杓子も、合言葉は「ゼロ」、である。
清涼飲料水も然り。
コカコーラにファンタに、三ツ矢サイダーまで、
ゼロと記載していなければ、売れない。
そんな状況である。
しかし、コーラの味に親しみ、そして、その味に惚れ込んだ真の愛好者は、
今でも、赤いコーラを買う筈。
健康、云々の前に、味、なのである。
端的に言えば、「ゼロ」商品は、すべからく味が薄い。
そして、炭酸が弱い。
忘れてしまったのである、私たちは。
あの、赤いコーラの味を、である。
あの独特の風味と、炭酸の刺激。
そして、コクのあるのど越し。
ゼロだから、てぇんで、ごくごく飲んでも良い。
そうじゃない。
ゼロでも甘味料等は含まれているので、
むしろその方が、危険であると、思う。
私が子供時分、好きだったコーラが、「ジョルトコーラ」である。
よく飲んだ。
あの強烈な味に、慣らされてしまった感がある。
ジョルトコーラの売り文句は、「カフェイン2倍」であった。
「カフェイン2倍の砂糖100%」
が、大いにアピールポイントになった時代が、あった。
今のところ、成人病にはなっていない。
【天候】
梅雨の晴れ間で、気温が上昇。
蒸し暑い一日。