1258声 紫陽花の色づく頃

2011年06月11日

「歩かないからだよ」
と言う指摘を受けた事を、ふと思い出し、
自宅裏の田圃を小一時間ほど、歩いてみた。

先日から、どうも腰の具合が悪く、
軽いぎっくり腰ではなかろうか、と感じている。
腰が痛くて、散歩に出掛けるなんて、年寄めいているが、
時刻が夜と言う事も有り、気分転換を兼ねて、出掛けた。

生温かい風の吹く外の空気感は、すっかり夏の夜、である。
薄ぼんやりとした闇の中を、懐中電灯片手に歩を進める。
水田一枚ごとから、蛙の声がさんざめいている。
この自宅裏の田圃、と言うのは、何でも先の戦時中は飛行場があったとかで、
広大なのである。
榛名山と赤城山の麓、遠くに爪程の灯を置く。

畦道を進んで行くと、休耕田、と言うか只の草ぼうぼうの空き地に、
ライトを煌々と灯した一台のブルトーザーが、動いている。
けたたましいエンジン音を唸らせ、しきりに、枯蘆や雑草をなぎ倒している。
何だか、獰猛なロボット型の恐竜を思わせ、
その光景は、80年代のSF映画に出てきそうな場面であった。

何の故があって、夜に草をなぎ倒しているのか知らぬが、
なんだか、邪悪な感じがしないでもない。
通り過ぎて、家路を進む。

小一時間も歩いて、腰の痛みは、左程、変わり無いようだが、
涼やかな夜風を受け、気分転換にはなった。
帰り際、庭に紫陽花の咲いている家があった。
街灯に照らされた花は、未だ、色づいていなかった。
祖母の家の庭に、毎年咲く、紫陽花を、ふと思い出した。
あの紫陽花は、もうすぐ色を付ける筈である。
しかし今年の庭に、祖母は居ぬ。
明日は、祖母の居る病院へ、行こうと思った。

横の水田で、百万匹の蛙が大合唱している。
直ぐ足先で、一匹だけ、しきりに低く鳴いている蛙があった。

【天候】
朝より雨。
午前中には上がり、その後は終日曇りで蒸し暑し。
蛍が飛びそうな気候に、なって来た。