金曜日の晩酌。
と言うのは、土日を控えた解放感から、少々度を過ぎて飲んでしまう。
それでも、外で嗜むよりも随分と、安上がりである。
家に居る安心感から、酔いの回りも驚くほどはやい。
只、難点があるとすれば、いくら飲んでも、面白くも可笑しくもないところ。
ギャグを思い付いたところで、それを発表する場が無いのが、
つらいところである。
最近は、などと、酔った上の身の上話。
聞かされる方はたまったものではないが、
聞かせようとしている方は、心地好いので、いま、そのまま続けよう。
最近は、気になった作家の句集を手に入れて、乱読している。
以前は、随筆、小説などの類が多かった。
しかし、最近ことに、俳句関連の本、それも、古本屋で買った、
有名俳人とは言えない、半ば無名俳人の句集を読んでいる。
その量が増えているのは、読了する時間にある。
句集は、早い、のである。
例えば詩集であると、一つの詩を読む時、
ご飯を口にした時のように、咀嚼する時間が、多少なりともかかる。
これが句集にになると、まるで、そばかうどんを啜っている様に、
喉を通って行くのである。
俳句は特に短い一行詩であり、概ね、定型であるので、読みやすい。
例え、三百頁の分厚い句集とて、二時間もあれば十分に読了できる。
その早さが、リズムが、とても心地好いのだが、おそろしくもある、と思った。
考えても見れば、喉越しだけよくて、食べ終えてから味わいなど、
思い出せぬ様な、そばやうどん。
そんなように、一冊の句集の中に、味わいの残る句がいくつあるか。
口の中で、もそもそと、喉越しはとても悪いけれど、
風味のある田舎暮うどん。
古本屋の片隅で埃をかぶっている、無名俳人の句集には、
そんな味わい深さもある。
【天候】
朝より雨。
午前中には上がり、夕方には晴れ間も若干。
終日、長袖で丁度好い気候。